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能登への愛憎とアートワーク

昨日リリースしたLINEスタンプ「能登弁ほっこりスタンプ」のキャラクターと、能登のスーパーマーケット「どんたく」でコラボできないかなと勝手に妄想しながら、YouTubeでどんたくの店内ソング『イキイキどんたく』を聴いていた。

字幕をじっくり見ていると、間奏の掛け声で「ハイロ」という歌詞があって驚愕した。「はいろ」というのは、「ほうやろ?」がなまったもので、同意を求める方言である。亡き祖母の場合は、さらになまって「はぁろ」と言っていた。ああ、なんでこれをスタンプに加えんかってんや! すっかり忘れとったわ、「はいろ」なんて! 能登弁スタンプを作るにあたって、能登の方言リストをネットで検索しまくったが、「はいろ」はどこにも載っていなかった。こういう、地味すぎる日常会話の頻出フレーズは、他にもいっぱいあるだろう。それにしても、『イキイキどんたく』を作詞した人は誰なんだ? 「はいろ」を加えることで、能登の空気感が伝わってくる絶妙さ。

私は方言が好きだ。方言を最初に意識したのは、親戚が話す関西弁と思われる。それから、5歳で奥能登から金沢の近くに引っ越したとき、一部の方言が通じないという経験をして、人によって使い分ける必要があることを学んだ。現在住んでいる静岡県内では、ほぼ方言を封印している。それでも私は石川弁ネイティブとして、何かしら愛を表現したいと思って、能登弁スタンプを作った。

能登を盛り上げていきたいとか、復興支援がしたいとか、そういうつもりは全くない。2024年2月末に震災ボランティアで惨状を目の当たりにして、ずっと気持ちの整理ができなかった。能登は幼少期を過ごした大事な場所であると同時に、中学高校と人生の暗黒期を過ごした場所でもあるので、愛も憎しみも詰まっている。上手く表現できないけれど、私は私なりに、能登をテーマにしたアートワークをこれからも作っていくのだろう。旧柳田村出身の写真家・梅佳代さんが2013年に出した写真集『のと』に、ずっと憧れながら。